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オンライン研修に求められる講師スキルとは?

同じ研修と言えども、「集合研修」(対面形式)と「オンライン研修」では、講師に求められるスキルが大きく異なります。もちろん共通する要素も多いのですが、今回は「オンライン研修」に特化して、特に講師として注力すべき点、意識的に取り組むべきポイントを整理してみたいと思います。

1.リテラシーのバラツキを解消する

コロナ禍の一年半で受講生もかなりオンライン研修慣れして来ているとは思いますが、それでも「日常業務はTeams中心で、Zoomは初めて」など使用するツールの習熟度にバラツキがあることがあります。研修内容に集中してもらうためにも、まずは研修の冒頭でツールの使用方法に関する不明点や不安を解消することが必要です。

このため、弊社では研修開始時に参加者の「使用ツールに関する習熟度の把握」と、必要に応じて「基本的な操作方法に関する教育」を行うようにしています。

「習熟度の把握」でよく使うのが、あらかじめ写真のようなスライドを用意しておき、「①Zoomが全く初めて、②ミーティングだけならある、③Zoomで研修にも参加したことがある」の3択で回答してもらう方法。スタンプを押してもらうのがベストですが、他にもチャットに番号を打ち込んでもらう、画面越しにグー/チョキ/パーを出してもらうといった方法でも代替が可能です。

これによって、例えば①:②:③=3:5:2など、クラス全体の状況を瞬時に把握することができます。

全体の状況を把握した上で、習熟度が高いようであればツールの操作方法の説明は省略することもできますし、初めての方が多ければ、ミュートボタンやカメラの使い方など基本的な説明から入った方が良いでしょう。もし②の人が多ければ、ブレイクアウトルームの使用経験がない可能性があるため、そこだけ紹介しておくなど説明のレベルを変えて対応が可能です。

2. 反応を引き出す

集合研修と比べて、オンライン研修の進行で最も難しいのが「参加者の反応が見えない」ことです。集合研修であれば、一人一人の姿勢や発する声、クラス全体の雰囲気など多くの情報をキャッチできるのですが、オンラインの場合は参加者が自ら声を発するのは極めて稀なのと、顔しか写し出されないため、表情だけが頼みの綱となります。ましてや参加者全員がカメラOFFとなると反応を把握するのは至難の業です。

「参加ルール」を取り交わす

研修途中での軌道修正は難易度が高まるため、まず大事なのが、研修冒頭で受講生と「参加ルール」をしっかりと取り交わすことです。

弊社では、写真の【参加にあたってのお願い】のように特に重要度の高いものを5箇条くらいにまとめて提示するようにしています。カメラに関しては、その日の研修の効果そのものに直結するので、事前に事務局からも「原則、カメラON」を周知いただいたり、そもそもセキュリティの問題でカメラが使えないのか?あるいは、タイミングの問題(個人の諸事情、物理的な環境の問題など)なのか?まで確認することもあります。

タイミングの問題であれば「今はONにするのが難しい方は、大丈夫な状況になったら顔を見せてください」など、相手への配慮も示してあげると、参加者との信頼関係も深まるでしょう。

「皆さんの関心や理解度を把握しながら進めたいので」「お互いに顔が見えた方が議論も深まりやすいので」など、講師視点ではなく、参加者視点でのメリットを訴求しながら協力をお願いすれば、多くの受講生はそれに応じてくれるでしょう。

反応を取る

「反応を引き出す」のもう一つのコツは、進行しながら「小まめに参加者の反応を取る」ことです。

「この言葉を聞いたことがある人?/ない人?」などと挙手してもらうのも良いでしょうし、Zoomの場合は「投票」機能も効果的です。組み立てを考え事前にしっかりと設定しておけば、瞬時にクラス全体の統計を取ることができます。これなどは逆に対面研修ではできない、オンライン研修ならではの大きなアドバンテージと言えます。

また、反応を取るという点においては、チャットの活用も欠かせません。こちらも対面研修だと参加者全員の声を同時に拾うことができないのを考えれば、オンライン研修の大きな利点の1つです。

チャットの場合は、受講生の打ち込みスピードによってタイムラグが発生しやすいので、例えば、回答を3択で提示して番号だけ打ち込んでもらうなど発問の仕方を工夫したり、学び・気づきなど少し情報量の多い打ち込みをお願いする場合は早い人には少し待ってもらって、送信のタイミングを同時にお願いするといった配慮があるとさらに良いでしょう。

3.参加者を迷子にさせない

集合研修に慣れている方が、オンライン研修を実施した際に意外と盲点となりやすいのが、このポイントです。

一方的な講義型の研修であれば良いのですが、ペアでの演習やブレイクアウトでの話し合いなど、参加型のワークを取り入れる場合は注意が必要です。なぜなら、ワークの進め方に多少曖昧な点があっても、集合研修なら隣の人同士で確認したり、他のグループの様子を見て「なんとなくこんな感じ」と自分たちで軌道修正ができます。

ところが、オンライン研修の場合は各自が「個」で参加しているため、取り組み内容(演習の進め方、話し合うテーマなど)の理解が浅いと迷子になってしまいます。集合研修なら、講師側からも「あのグループ(または受講生)少し困っているな」と視覚情報で把握できますが、オンラインの場合はそれが難しいため、より明確な指示が求められるのです。

ポイントとしては、①丁寧な指示を心がける(ステップを示す、デモをする、繰り返すなど)、②指示内容をビジュアル(スライド、チャットなど)で補足するの2点が特に重要です。

②に関しては、「ブレイクアウトルームに入ると指示内容が分からなくなる」ということが発生するため、情報量の多い複雑な指示の場合は、チャットでも詳細を流すといった配慮が必要になります。

4. 集中力を維持する

オンライン研修において「参加者の反応が見えないこと」に次いで講師を悩ませるのが、「参加者の集中力を維持させづらい」ことです。

集合研修であれば、一人一人の取り組み姿勢や受講態度は講師のみならず、他の受講生の目にも晒されることになるので、一定の緊張感は自然と維持されます。ところが「監視」の目がないオンライン研修の場合は、そうはいきません。そういった意味では、参加者を飽きさせずに巻き込む力量は、オンライン研修の方がより求められると言えるでしょう。

この点に関して、弊社では講師養成の世界的権威とされるボブ・パイクの「90/20/8の法則」をアレンジし、「60/10/3の法則」としてそのノウハウをご紹介しています。すなわち「人が飽きずに集中して話を聞ける」のは3分が限界、よって、3分に1回は参加者の集中力を維持させるためのプチ巻き込みが必要という考え方です。

プチ巻き込みに関しては、ここまで紹介して来た「反応を取る」「チャットを活用する」を含め大きく5つの切り口で整理していますが、詳しくはまた別のタイミングでご紹介したいと思います。


▼「オンライン研修の設計&ファシリテーション」実施事例

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5.まとめ

ここまで「集合研修」(対面形式)との違いも交えながら、「オンライン研修」において講師として気をつけるべきポイントを大きく4つに分けてお伝えして来ました。

しかし、集合研修/オンライン研修いずれにおいても大事なことは、どれだけ「相手本位」すなわち参加者の視点に立って進められるかという点につきます。参加者の皆さんはせっかく業務時間を割いて研修に参加してくださっている訳ですが、1つでも多く「参加者の現場における問題解決」につながる要素を提供するのが講師としての責務ではないでしょうか?

その前提に立ちつつ、オンライン研修ならではの特異性をよく理解し、アジャストして行くことが、これからの講師には問われていると言えます。

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