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研修内製化とは?基本的な進め方とその要点

研修の内製化を進めることが社内の人財開発方針として打ち出されている。ただ、「何から手をつけて良いのか分からない」「外部委託に比べると研修の質が担保できそうもない」「現場の反発もあって、講師の担い手がいない」といった悩み・課題を抱えていらっしゃる人財開発部門のご担当者も多いことと思います。今回は基本的な「研修内製化の進め方と各ステップでの要点」をご紹介していきたいと思います。

1.研修内製化の目的を考える

そもそも何のために研修を内製化するのでしょう?

人財育成に限らずどのような施策においても重要なのが「目的」です。

「手段が目的化」することのないよう、まずは「なぜ何のためのに内製化を進めるのか?」について合意形成をとることが出発点となります。

図は、企業の人事教育担当者に「内製化のメリット・デメリット」に関して意見交換をしていただいた際のアウトプットです。

要約すると、研修内製化の目的として、主に次の3点が考えられます。

1)自社独自の考え方・手法を浸透させる
2)コスト(教育訓練費)を削減する
3)社内人財の育成機会とする

このうち、最も重視したいのは、1つ目の「自社独自の考え方・手法を浸透させる」です。
ややもすると、2番目のコスト削減が最上位に来がちですが、研修実施には多くの工数がかかるため、見た目のコスト(外部ベンダーへの委託費)は下がったとしても、社内コストは膨らむため決してうまく行きません。

それよりも、社外の講師には伝えることができない「自社独自の考え方や手法・ノウハウなどを伝承すること」を最上位の目的に据えることが肝要です。

2.研修内製化の基本的な進め方

図は実際に研修内製化を進める際の基本プロセスです。

自社の「求める人材像」を明確化し、それを元に「研修体系の構築」をしていくこと定石となります。ただ、求める人材像を固定化し過ぎると変化への弾力性がなくなったり、企業内のキャリアパスもかつてよりはるかに多様になって来ているため、一旦、ここでは省略します。

一方でフォーカスしたいのが、「研修=プログラム×講師」、つまり研修を「プログラム」と「講師」 に分けて考える発想です。

「プログラム」とは研修のコンテンツやカリキュラムのことで、ドラマや映画に喩えるならば「脚本(シナリオ)」と言えます。一方、「講師」とはファシリテーションを意味し、同様に喩えるならば「俳優」と言えます。

両者を同じ人が兼ねる場合もありますが、教えることを専業とせず、かつ定期的な人事異動を伴う社内講師の場合は、両者を分けて考える方が現実的かつ効果的です。

「講師(ファシリテーション)」の担保に関しては、集中的にトレーニングすれば比較的、短時間でもスキルアップが可能なのに対し、「プログラム(コンテンツ・カリキュラム)」の作成は高度なスキルが求められるのに加えて、研修の作り込みには相応の時間を要します。共通資産となるプログラムをしっかりと蓄積していくことで、人(講師)の入れ替わりがあっても、組織として一定品質の研修を継続的・安定的に提供していけるようになります。

3.研修の内製化に適したテーマ

研修内製化の一番の障壁は、時間的なコストがかかることです。

特に研修プログラムの作り込みには相応の時間がかかります。限られた社内リソースで内製化を進める上で欠かせないのが「優先順位付け」です。

「内製化すべきプログラムの見極め」として提案したいのが、「コンテンツの独自性」と「開発の負荷(難易度・可変性)」の2軸の活用です。

「コンテンツの独自性」とは、その教授内容が、自社独自のマインド・知識・スキル(=独自性が高い)なのか、あるいは汎用性が高く、どの会社・業種であっても共通性の高いマインド・知識・スキル(=独自性が低い)なのか、という観点です。

一方、「開発の負荷」とは、実際に研修の開発・作り込みにかかる負担の大きさを表します。ここでは「難易度」と「可変性」の2つの要素を加味します。比較的、知識を付与すれば済むだけの研修よりも、対象者の意識やマインドを変えるような研修はビジネスシミュレーションや動画を用意するなど何かしらの仕掛けが必要となります。また、可変性の高いIT知識や法令知識などを扱う場合は、最新の動向を正確に把握しないといけないという点において、開発の難易度が高まる傾向があります。

①「コンテンツの独自性」(低)×「開発の負荷」(高)

①は「最も内製化には適さない」領域となります。

開発の負荷が高く、かつコンテンツの独自性も低いのであれば、専門性の高い研修ベンダーや外部の専門家に委ねてしまった方が合理的だからです。

具体的な研修内容としては、次のようなものが一般的です。

・ITスキル教育
・法律や法令に関する研修
・コンプライアンス研修
・マインドセット系の研修

②「コンテンツの独自性」(低)×「開発の負荷」(低)

②も「あまり内製化には適さない」領域となります。

理由としては、「コンテンツの独自性が低い=汎用性が高い」ということなので、多くの研修ベンダーがたくさんの良質なコンテンツを持ち合わせている領域だからです。同時に研修ベンダーにとっては価格競争が激しい領域でもあるので、低コストで良質な研修を手配できるのであれば、それを活用した方が賢明と言えます。

具体的には、次のようなものが一般的です。

・新人研修(マナー、仕事の進め方など)
・プレゼン研修
・コミュニケーション研修
・ロジカルシンキング研修

③「コンテンツの独自性」(高)×「開発の負荷」(高)

③は「比較的、内製化に適している」領域となります。

「1.そもそも何のための内製化なのか?」でも触れたように、社外の講師には伝えることができない、自社独自の考え方や手法・ノウハウなどを伝承することが、内製化の第一義です。ただ、「開発の負荷(難易度)」が高い領域でもあるので、初めは外部の専門家の手も借りながら、段階的に内製化を進めて行くのが得策でしょう。

具体的な研修としては、次のようなものが考えられます。

・企業理念を浸透させるもの
・行動指針を定着させるもの
・営業プロセス理解を深めるもの
・開発、設計ノウハウを共有するもの

④「コンテンツの独自性」(高)×「開発の負荷」(低)

④が「最も内製化に適している」領域となります。

自社ならではノウハウや考え方・思想が含まれており(=外部には頼れない)、内製化の一番の障壁とも言える開発負荷もそこまで高くないのであれば、まずはここから着手すべきです。

具体的に次のようなものが考えられます。

・自社の商品、サービス理解
・自社の評価指標の理解
・自社独自の専門技術の伝承
・自社独自のノウハウの習得

ちなみに、100名を超える社内講師を抱え、研修内製化に最も成功している企業の1つであるソフトバンク社では、その第一歩を「ソフトバンク流プレゼンテーション」から始めています。これは、ソフトバンクの代表である孫正義さんにプレゼンし、その決済を得る際に絶対に抑えないといけないポイントをノウハウ化したものだそうです。まさに自社独自のノウハウ(かつそれほど難易度は高くない)を内製化した事例と言えます。

4.研修の企画・研修の設計

内製化すべきプログラムの見極めができたら、いよいよ「研修プログラムの開発」です。

「プログラムの開発」は大きく、(1)「研修の企画」と(2)「研修の設計」の2つのフェーズに分かれます。

(1)「研修の企画」
「研修の企画」は、研修開発を「家づくり」に喩えるならば、そもそもなぜ何のために家を建てるのか?住むのは誰なのか?その家でどのような暮らしをしたいのか?など、研修の目的や狙いを明確にするフェーズです。

一般的に、会社や人事からの指示で「強制的に参加が求められる」ことが多い企業研修は、現場や参加者から「煙たがられる」存在です。如何に参加者に、“意味がない研修”と思われないようにするか?が最大のポイントです。

(2)「研修の設計」
「研修の設計」は、同じく家づくりに喩えるなら、間取りや柱を立てる位置を決め、全体の骨組みを作り込んでいく工程、すなわち研修のカリキュラムを組み立てていくフェーズです。

書いてあること・知っていることを読み上げるだけの座学中心の研修では、参加者の学習意欲も学習効果も高まりません。ここでは、参加者に“つまらない研修”と思われるないよう、趣向を凝らしたバリエーション豊かな学習手法を組み合わせながら、狙いとする研修ゴールに参加者を適切に導いていくことが一番のポイントとなります。

効果性の高い研修を企画し設計するには、専門知識とコンセプチャルスキルが求められため、体系的にそのノウハウを学ばれることをオススメいたします。

5.社内講師の選定と確保

内製化を進めるにあたって、企業として頭を悩ませる点の1つが「社内講師の確保」かも知れません。

一般的に、会社・人事サイドとしては「受講生にとってのロールモデルとなるような人に講師となって欲しい」という思惑がある一方で、現場サイドとしては「優秀な人は(本業と関係のない)講師としてリソースを割けない」というズレが生じるからです。

図は、私が前職の研修会社でも活用していた「理想的な講師の選考・育成」プロセスですが、「そもそも講師の成り手がいない」というのが多くの企業の実態ではないでしょうか?

そこで私がオススメしたいのが、「スキル・能力は不十分であっても、人に教える・人を育てることに興味・関心はある」人に白羽の矢を立てることです。

後述しますが、講師としてのスキル・能力は、然るべきトレーニングを積めば十分にレベルアップが可能です。しかしながら、「人に教える」ことに喜びを見出せるかは価値観の問題なので、コントロールが難しいのです。

6.社内講師のスキルアップ

「社内講師=パフォーマンスが低い」という構図ができあがってしまうと、受講者(現場)から反発が増えて、研修の内製化がうまく進みません。そのため、社内講師にも一定のスキルアップの機会が必要です。

「講師」というと、持って生まれたセンスだったり、人前で話すことに関して圧倒的な存在感を持ち合わせている人と捉われがちかも知れません。が、私は、講師=「再現性のあるスキルで参加者と学びの場を創り出せる人」と考えています。

当然ではありますが、初めて講師の役割を担う人の多くは「経験」もなければ「拠り所」もないため、「不安」でいっぱいです。私もかつては全く経験のないところから、「見様見真似」で不安を感じながら、研修講師としてのキャリアをスタートしました。

しかしながら、自分自身の登壇、また研修会社の講師マネジメント担当として、たくさんの講師の方の育成や登壇に立ち会う中で、「よい講師、よいファシリテーション」には、多くの共通点・共通項があることが見えてきました。

いつ・どんな場面で・なにを意識する必要があるのか?

そこをきちんと体型的・理論的にアタマで理解しつつ、実践的なロールプレイと客観的なフィードバックによって体感的な学習を繰り返せば、短時間のインプットでも、講師スキルは飛躍的に高めることができるのです。

7.弊社『研修内製化研修』シリーズの特徴

研修の内製化は、その展開の仕方次第で、非常に効果性の高い教育施策となり得ます。

暗黙知となっている属人性の高いノウハウや知識を社内に伝承できるだけでなく、「人に教える」という経験が講師となった方に大きな成長機会とやりがいをもたらします。また、同時に「多数の人に教える」という点においても、集合研修は投資対効果の高い教育施策と言えます。

その反面、「教え方の質」そのものが低いと、「研修時間(拘束時間)× 受講者数」という膨大な時間をムダにしかねないのも研修内製化の怖さです。

社内講師の役割を担う皆さまの「教え方の質」を高めるために、弊社では多様なラインナップの『研修内製化研修』をご用意しております。研修ニーズ・ご要望に応じて研修プログラムはカスタマイズ提供させていただきますが、共通する特長は以下の3点です。

1)理論と実践のベストバランス
アカデミックな知見を踏まえた【理論】だけではなく、「現場で活用される」ことを担保するため【実践】も織り交ぜ、“アタマ”と“カラダ”の両面に働きかける研修設計を心がけています。

2)再現性を意識したフィードバック
ややもするとセンスや感覚で捉えがちな研修の企画・設計ノウハウや講師ファシリテーションスキル。弊社では、参加者のアウトプットに対し、個別・具体的な改善の方向性を示すことで、参加者のスキルアップをお約束します。

3)リアリティのある体感的理解
「学びの設計・学びの場づくり」に関して研修内でお伝えしていることを、リアルに体現しながら研修を進行します。これによって、その価値・効果を受講者の立場で実感いただき、自らが講師として現場で実践していくことへの動機づけをします。


各プログラムの詳細は、下記リンクより、資料請求ください。

▼ 【〜研修の効果性を高める〜「研修の企画・設計・評価の進め方」】資料請求フォーム

▼ 【〜参加者の学ぶ意欲を刺激する〜「社内講師スキルアップ研修」】資料請求フォーム

▼ 【〜リアル研修に見劣りしない〜「オンライン研修の設計&ファシリテーション」】資料請求フォーム

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