今年の春も複数の企業様で新人研修を担当させていただいています。
- 入社式も含め、新人研修の全期間をオンラインで実施(新人は一度も出社することなく自宅からアクセス)
- 新人を輪番制で出社させながら、オンライン研修を併用
- 対面を前提に進めていたが、「まん延防止等重点措置」をきっかけにオンラインに切り替え etc.
withコロナでの2年目の新入社員研修。
各社の人事・教育ご担当者が、対面研修orオンライン研修の狭間に揺れている様子が伝わってきます・・・
私自身は、ほぼオンライン研修がメインだったのですが、某通信大手企業での新人研修を担当した際に、興味深い出来事がありました。
その会社では密を避けるため、新人をA群(最初の2週間は全てオンライン研修で実施)とB群(最初の2週間は全て対面研修で実施)に分けて実施していました。私は週末をまたいだ金曜日と月曜日に、A群・B群の各クラスにビジネスライティングの1日研修をオンラインで実施したのですが、A群とB群では同じ会社の新人同期にも関わらず、特徴に大きな違いがありました。
◇A群の受講生の特徴(それまでの研修は全てオンラインで受講)
・同期同士にもかかわらず、どことなくぎこちない
・ブレイクアウトルームに入っても様子見が多く、話し合いが軌道に乗るのに時間がかかる
・全体的に言葉を選ぶ雰囲気があり、言葉数が少ない
◇B群の受講生の特徴(それまでは対面で今回が初のオンライン受講)
・スタート時点からリラックスした雰囲気
・ブレイクアウトルームではニックネームで呼び合う人もいるなど緩い雰囲気
・全体的に表情も明るく、発言量も多い
当初は、オンライン研修が初となるB群の受講生の方が、オンライン特有の進め方に伴うケアが必要かな?と予想していたのですが、結果はその逆でした。
1つのクラスを見ただけに過ぎないので、あくまでも仮説となりますが、両クラスに違いを生み出していたのは、【関係の質】にあったのではないか?と感じています。
MITのダニエル・キム教授が提唱する『成功の循環モデル』という考え方があります。
これは、チーム・組織に好循環を生み出すためには、まずは構成されるメンバー間の「関係の質」を高めることが重要という考え方です。
今回の研修においてスタートの2週間を「対面」で過ごしていたB群の受講生には次のような好循環が起きていたと考えられます。
●2週間に渡り、Face to Faceで顔を合わせたことで関係性が深まっている(「関係の質」が高い)
↓
●気ごころが知れている分、思い付いたこと・感じたことを自由に発しやすい(「思考の質」が高い)
↓
●自然と発言・質問・フィードバックが促進される(「行動の質」が高い)
↓
●結果的に深い学び・気づきが得られる(「結果の質」が高い)
↓
●お互いの成長を実感できることでより関係性が深まる(「関係の質」がさらに高まる)
研修においては「結果の質」=「学びの質」と言えます。これを考えると、研修における「学びの効果」を最大化しようと思ったら、まずは「受講生同士の関係性の質」を高めることが重要です。
以前に【オンライン研修は集合研修よりも効果が劣るのか?】というエントリーでも書きましたが、オンライン研修は「ネットワーキングには適さない」という弱点があります。
あらためて「対面」の場を持つことの価値を感じた今回の体験でした。
「対面研修」と「オンライン研修」のハイブリッドは今後も続くことが予想されます。この状況下におけるポイントをまとめると以下のようになります。
- 同一の受講生で長期間(または複数回)に渡って研修を実施する際は、受講生同士の「関係の質」を高めるためにまずは「対面」の学びの場を持つことが望ましい。
- オンライン研修だけで進めざるを得ない場合も、オープニングでアイスブレイクの時間をしっかりと確保し、まずは受講生同士の「関係の質」を高める工夫をする。
オンライン研修の効果的な進め方については、下記よりお問い合わせください!